新卒で大企業に就職したものの、会社の歯車になってしまっていて、どこか物足りない。もっと自分でガツガツ仕事をやれるベンチャー企業に転職してみたい。あなたはそう思われているのかもしれません。
そんな前向きでチャレンジ精神のあるあなたには、ぜひベンチャー企業への転職をおすすめしますが、未知であるベンチャー企業に漠然と不安を抱えているのではないでしょうか。ここでは、大企業からベンチャー企業に転職した経験のある私から、転職前に絶対に知っておくべき両者の違いをお伝えしたいと思います。
これを知っておくことで、ベンチャー企業に転職しても大活躍できること間違いないでしょう。
大企業とベンチャー企業の違い8項目
まずはじめに知っておいていただきたいのは、大企業とベンチャー企業の職場環境は全く異なるということです。大企業で通用していた常識や慣習は、一度全て捨ててから入社する方が賢明です。
大企業でのルールというのは、規模が大きな組織だからこそ成り立つものがほとんどですから、ベンチャー企業ではほとんど適用できません。
では、大企業とベンチャー企業では具体的にどういった部分が異なるのでしょうか。さっそく8項目をご紹介したいと思います。
1.求められる能力
簡単に表現するなら、大企業は「守備力」が大切であり、ベンチャーは「攻撃力」が大切となります。
すでに組織が完成されている大企業では、文書作成・業務効率化・コスト削減・ルール改定など、出来上がった組織を守るための力が必要になります。
一方、これから組織拡大していくベンチャー企業では、新規プロジェクト立ち上げ・アイデア出し・新規への営業力など、新しいことにチャレンジして結果を出していく能力が求められます。
特に新規への営業力は、組織拡大には必要不可欠な分野なので、チャレンジすると面白いと思います。また、ベンチャー企業の営業はノルマ型営業であることが多いので、ノルマ型営業で成功を収めるためのスキルについても、記事にしています。参考にしてみてください。
大企業で働いてきたエリート社員は、計算が速かったり、文書作成が上手かったり、エクセル作成がプロレベルだったりするのですが、残念ながらベンチャー企業でその能力はさほど重要視されません。
それよりも、組織拡大のための豊富なアイデアや新規を開拓できる営業力の方が断然重視されるということを、知っておいてください。
2.仕事の範囲や裁量
自分がやるべき仕事の範囲や裁量は、大企業よりベンチャー企業の方が確実に大きくなります。
人事部・経理部・営業部・システム部・開発部など細部にわたって役割分担されている大企業に対して、ベンチャー企業は営業担当とシステム開発担当、経理事務の担当が1人いるくらいのものです。
あなたは、一つの仕事をこなすのではなく、たくさんの仕事を同時並行で行うことになるでしょう。
新規営業をしながら採用活動をやったり、新規プロジェクトを立ち上げながら既存のサービスをマネジメントしたりなど、幅広い仕事を任せられる可能性があります。大企業で力を持て余していた人なら、とても充実した毎日を過ごせるのではないでしょうか。
3.仕事のプロセス
自分→上司→係長→課長→副部長→部長という、大企業特有の厳格な仕事のプロセスはベンチャー企業にはありません。ベンチャー企業では、直接社長に承認を得たり、上司や同僚と相談して決定したりなど、どんどん物事を前に進めるスピード感があります。
大企業というのは、社会への影響力も大きいため物事の決定にとても慎重な傾向があります。ここで大きなミスをしてしまうと、多くの関連企業や子会社、そして日本国民に大きな迷惑をかけてしまうため、時間をかけてじっくり物事を決めるのです。
一方のベンチャー企業は、社会的影響力や責任もほとんどないため、どんどん攻めの姿勢でいけます。ただし、プロセスに甘さや抜け穴があることが多く、大きなクレームが大きな経営の打撃になることもあるので、細心の注意を払うことも大切になります。
4.職場の年齢層
私が働いていた大手インフラ企業は、平均年齢44歳というかなり年齢層の高い会社でした。新入社員の時に配属された部署では、一番近い年齢の方が当時39歳でしたから驚きでした。
ベンチャー企業に転職してとてもびっくりしたのが、年齢層の低さです。私は28歳の時に転職したのですが、すでに自分が平均より高い年齢だったことに衝撃を受けました。大企業ではまだまだ若手でしたが、ベンチャー企業では20代後半になると幹部クラスの年齢になります。
もしベンチャー企業に転職しようか迷っている大企業の20代がいるのなら、早く決断した方が良いです。タイミングを逃してしまえば、ベンチャー企業への転職の入り口は閉じてしまいます。年齢に対する考えをもっとシビアにすることが大切です。
5.社内ルール
会社内でのルールの厳しさはかなり異なります。大企業では、近くから上司が目を光らせて監視していますし、和気あいあいと会話をすることが難しい雰囲気があります。
ベンチャー企業では、年齢層が若いこともあるのですが、職場のルールは緩いことが多いです。いろんな場所で同僚との会話がワイワイ盛り上がっていますし、楽しくのびのびと仕事ができる雰囲気があります。
デスクで音楽を聞いたり、お菓子を食べたり飲み物を飲んだり、ぬいぐるみを置いたりなど、自分が気持ちよく仕事ができる環境を作れることは、大きなメリットではないかと思います。
こうみると、ベンチャー企業の方が魅力的だと思われるかもしれませんが、一概にはそうは言えないことも知っておいてください。大企業は職場環境が厳しい反面、座って仕事をしているだけで高い給料がもらえます。一方のベンチャー企業では、働きやすい環境である反面、仕事の成果がでなければクビを切られてしまう可能性があります。
ベンチャー企業への転職に興味を持っている人は、仕事の成果を出したいと思っているケースが多いのでなんの問題もないのですが、社内のルールに対する認識は持っておいてください。
6.労働時間管理
大企業では労働時間をかなり厳しく管理していますが、ベンチャー企業はかなり緩いところが多いです。
ベンチャー企業は、大企業と違って出勤と退勤の時間がかなりフレキシブルであることが多いです。自分の仕事の進捗に合わせて、出勤時間を遅くできたり、夜遅くまで作業をしたりすることが可能です。労働時間管理は自分でしっかりやるというのがベンチャー企業のスタンスなので、全て自己責任だと考えてください。
ただし、仕事の期限や約束の時間を守るという点では、大企業もベンチャー企業も変わりません。自分できちんと時間管理ができる人なら、ベンチャー企業でも全く問題なく働けるでしょう。
7.収入形態
収入の増減に関しては、どういった労働契約を結ぶかによって決まると思いますが、収入形態が異なることをしておいた方が良いでしょう。
大企業はすでに給与規定と呼ばれる細かいルールが用意されていて、3年経てば自動的に昇給するといったシステムになっていることが多いです。係長や課長になってくる30代中盤あたりからは、出世する人としない人で給与額が分かれ始めますが、どの役職に就けばどのくらいの給与になるかなどは、全部決まっています。
ベンチャー企業の場合は、給与のルールはほとんど決まっていないケースが多いです。したがって、入社前に会社と交渉して、自分の給与を決めることになります。したがって、自分の市場価値を理解することと、相手との交渉力が結構大事になってきます。
最初の転職では、相場感もないと思うので給与交渉する必要性はないとは思いますが、自分で自分の給与を決めるという発想は大企業にはないので意識しておく必要があります。
8.心理的ストレス
大企業とベンチャー企業では、自分にかかる心理的ストレスが異なります。
大企業の場合、与えられた仕事を与えられた期限までに終えなければいけないので、常に時間とプレッシャーに追われながら仕事をしなくてはいけません。仕事を期限内に完了できなければ、上司に怒られたり、仕事ができない人間という烙印が押されてしまうので、ミスできないプレッシャーと戦っている感じです。
一方のベンチャー企業は、自らのアイデアや考えを行動に移して成果を出していくスタイルですので、未知の領域を開拓する不安が常につきまといます。ストレスというよりも、ワクワク感とドキドキ感とヒヤヒヤ感を毎日味わう感じです笑。
どちらもストレスがかかるという意味では一緒ですが、個人的にはベンチャー企業でのストレスの方が心地よい印象です。ストレスを感じながらもガツガツ仕事をしている感覚がとても好きでした。
大企業よりもムダなストレスはかからなくなる点は、とても魅力だと思います。
ベンチャー企業の最大の魅力は「自己成長」
ここまで、大企業とベンチャー企業の違いについてご紹介してきました。もちろん会社によっては該当しない項目もあるかもしれませんが、概ね当たっているのではないかと思います。
番外編ではないですが、個人的にもっとも異なるポイントは「自己成長」ではないかと考えています。ベンチャー企業の方が圧倒的に自己成長できるのです。
大企業:頭の回転、論理的思考、仕事の進め方、根回し、文書やメール作成能力、事務処理スピード
ベンチャー企業:創造力、チャレンジ精神、セルフマネジメント、主体性、冒険心
それぞれの会社で得られる自己成長の中身を私なりに挙げてみました。大企業は実務能力がかなり高くなりますので、なんでも素早くこなす「優秀な歯車」になれます。大企業で安定した人生を送っていきたい人なら、素晴らしい歯車になることを目指すと良いのですが、残念ながら自己成長は乏しい人生になります。
なぜ自己成長が乏しくなるのかといえば、それは企業の看板で守られた範囲の中でしか働けないからです。厳しい言い方をすれば、温室育ちになってしまうのです。大企業には非常に優秀な人材がたくさんいるのですが、人は環境には勝てないので、ある時期からピタッと自己成長が止まってしまいます。
一方でベンチャー企業では、会社の看板など最初からありません。温室な環境などどこにもなく、自分という人間で勝負していかなくてはいけないので、自己成長が著しいのです。実際私も、23歳から28歳まで働いた大企業の5年間と、28歳から29歳まで働いたベンチャー企業1年間を比較すると、圧倒的に後者の方が自己成長しました。
もし今の大企業での仕事が物足りないと感じているのなら、すぐにベンチャー企業へ飛び込むことをオススメします。
大企業からベンチャー企業へ転職する際の注意事項
私自身、大企業からベンチャー企業へ転職して大成功だったので、どうしてもベンチャー企業寄りの意見になります。しかしながら、ベンチャー企業へ転職する際には、必ず注意すべきポイントが2つありますので忠告もしておきたいと思います。
1.ベンチャー企業に長居は禁物
人は慣れる生き物であり、いくら刺激的な環境であったとしても3年も経てば慣れてしまいます。大企業が温室育ちだと先ほどお伝えしましたが、ベンチャー企業も慣れてしまえば刺激が少なくなってしまいます。
もしベンチャー企業に転職するなら、3年できっちり結果を出してキャリアアップするという計画が大事です。望めば20代で経営的ポジションにも就任することができます。
よく1つのベンチャー企業に長居してしまう人がいるのですが、それは得策ではありません。どんどん転職を繰り返して、自分の市場価値を上げていくべきです。でなければ、大企業から決心して転職した甲斐がなくなってしまいます。
2.起業を視野に入れること
大企業もベンチャー企業も、究極を言えば雇われの身であることに変わりはありません。一生雇われの身で過ごすのなら、大企業で安定して雇われている方が得であるという見方もできます。ベンチャー企業でチャレンジし続ける人生も良いですが、ベンチャー企業を経験した後は起業することをオススメしたいと思います。
なぜ起業が良いのか。それは、サラリーマンとして大企業とベンチャー企業を両方経験すれば、それ以上サラリーマンとして学ぶべきことは少ないと思うからです。転職するくらいなら、自分で起業して稼ぐべきだという思考になるはずなのです。
ベンチャー企業への初めての転職の時は、そんなことを考える必要はありません。ただし、将来的に起業の道を歩むことも念頭に入れておいた方が良いというのが、私の考えです。
まとめ
大企業からベンチャー企業へ転職する際、事前に違いを把握しておくことはとても大事なことです。私のように、入社6年目で突然退職して、まさかのネパール一人旅に出た人間からすれば、計画性の大切さを身にしみるように感じます。
では最後に、面白いツイートを見つけたのでご紹介します。
結婚式も転職も同じで「出来上がったものが好きな人」と「未完成なものが好きな人」がいますね!
前者は大手企業とか豪華ホテル結婚式。
後者はベンチャーやオーダーメイド結婚式。
(大きく例えると)どっちが今の時代か、は問題じゃなくて、「自分で決める」ってことが今の時代的なんだろうな!
— 松田 佳大 (@yosshi007) September 30, 2018
この方が言っているとおり、転職は時代の流れが大事なのではなく、自分で決めて行動することが大事なんだと思います。私は未完成なものを完成させていく方が好きだったので、ベンチャー企業への転職を決断しました。当時28歳でした。
誰でもないあなたが決断しない限り、変化することもありません。ぜひベンチャー企業へチャレンジして、人生を大きく飛躍させることをオススメしたいと思います。その際は、ぜひこの記事をご活用いただけたら嬉しく思います。